家族の介護が理由で会社を休まないといけない。お金とかどうすればいいの?
という方向けの記事です。
仕事の休み方によって、お金がもらえるもらえないがあります。全体像を確認していきましょう。
この記事でわかること
- 家族の介護で会社を休むときの条件
- 家族の介護で会社を休む時の給料のこと
- 休み方は「休業」「休暇」「時短勤務」の3種類であること
介護する労働者をサポートする2つの法律
雇用保険法
雇用保険で「介護休業給付金」を保障します。つまり、毎月の給料=お金を保障します。
育児介護休業法
お金を保障するのは雇用保険による「介護休業給付金」でした。
育児介護休業法は、お金以外のいろいろなサポートをおこないます。あとで紹介する「休暇」「労働時間の融通」です。
要介護状態とは
介護保険を利用するには「要介護認定」を受けなければいけません。認定は「要介護1~5」「要支援1~2」と計7段階。
雇用保険法の介護休業給付金と育児介護休業法の介護休暇では、「要介護状態」というまた別の“基準”があります。
要介護状態とは
- 2週間以上の期間にわたり
- 常時介護を必要とする状態
ちなみに、「常時介護を必要とする状態」は労災保険の障害等級1級の条件でもあります。障害年金保険の1級の条件はまたすこしちがうので、以下参考にしてみてください。
介護休業と介護休暇の違い
介護休業は給料の67%、介護休暇は給料なし
介護休業 | 介護休暇 | |
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休める日数 | 93日分まで/家族1人あたり | 5日分まで/家族1人あたり |
休む単位 | 1日単位 | 時間単位 |
休める回数 | 3回 | 何回でも |
給料 | 介護休業給付金(67%分) | なし |
申し出 | 2週間前までに | 当日でもOK |
介護休暇の場合は基本的に給料は発生しませんが、勤務先によって有給休暇扱いになります。
介護休業給付金
休んでいる間は給料の67%
介護休業 | |
---|---|
目的 | 1日単位で休むため |
家族の介護状態の条件 | ①要介護状態 ②2週間以上にわたり常時介護が必要 ※精神障害も対象 |
介護する家族の範囲 | 上の図を参照 |
取得条件 | 【フルタイム正社員】特に条件なし 【アルバイトや契約社員】取得予定日を起算にして、93日経過日から6ヶ月経過日の間に契約満了日がある場合→①契約更新:取得OK ②契約終了:取得NG 【日雇い】取得NG |
取得期間 | 通算93日分/家族1人あたり |
取得回数 | 通算3回まで(3回に分けて取得できる)/家族1人あたり |
給料 | 介護休業中、給料の67%を受け取れます。※上限は約34万円 |
取得日数の延長 | 休業終了日の2週間前までに申出 ※1回のみ |
介護休業給付金は、介護される家族1につき93日分まで、仕事を休んだとしても給料が保障されます。
介護される家族は、上の図の「家族の範囲」内の方のみ。
介護休業給付金として受け取れるのは、給料の67%相当です。
また、3回に分けて会社を休めます。
たとえば、毎月給料30万円の場合。30万円×67%=201,000円を介護休業給付金として受け取れます。たとえば、4月に30日分、6月に30日分、9月に30日分と3回に分けて家族の介護で会社を休むことができます。
- 給料とは
-
給料(正式名称:賃金)とは、所得税などの税金や厚生年金保険料などの社会保険料が天引きされる前の、基本給や手当との合計金額です。
介護休業給付金としてもらえる金額の上限は約34万円です。
そもそも、給料に上限下限があるんです。
給料の上限は約50万円、下限は約8万円。たとえば、毎月給料60万円の方は、60万円×67%=402,000円という計算式ではありません。上限の約50万円×67%という計算式になって、約335,000円を受け取れることになります。335,000円は34万円を下回っているので、満額受け取れることになります。
入社6か月未満の従業員、1週間の所定労働日数が2日以下の従業員は、勤務先と“労使協定”を結ぶと介護休業を取得できないです。あくまで勤務先と従業員の間で取得できないように約束を取り交わした場合です。
介護休暇
休んでいる間は給料なし (勤務先によって有給休暇扱い)
介護休暇 | |
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目的 | 時間単位で休むため ※通院の付き添いなど |
家族の介護状態の条件 | ①要介護状態 ②2週間以上にわたり常時介護が必要 ※精神障害も対象 |
介護する家族の範囲 | 上の図を参照 |
取得条件 | 【フルタイム正社員】特に条件なし 【アルバイトや契約社員】取得予定日を起算にして、93日経過日から6ヶ月経過日の間に契約満了日がある場合→①契約更新:取得OK ②契約終了:取得NG 【日雇い】取得NG |
取得期間 | 通算5日分/家族1人あたり |
取得回数 | 何回でも |
給料 | 介護休暇中、給料はなし。 ※勤務先によっては有給休暇になる。 |
介護休暇は、介護される家族1につき5日分まで、会社を休むことができます。
法律で決められているので、会社は拒否できません。
入社6か月未満の従業員、1週間の所定労働日数が2日以下の従業員は、勤務先と“労使協定”を結ぶと介護休業を取得できないです。あくまで勤務先と従業員の間で取得できないように約束を取り交わした場合です。
労働時間の融通
時短勤務や残業なし
労働時間の融通 | |
---|---|
目的 | 仕事と介護の両立 |
家族の介護状態の条件 | ①要介護状態 ②2週間以上にわたり常時介護が必要 ※精神障害も対象 |
介護する家族の範囲 | 上の図を参照 |
申請条件 | 【フルタイム正社員】特に条件なし 【アルバイトや契約社員】取得予定日を起算にして、93日経過日から6ヶ月経過日の間に契約満了日がある場合→①契約更新:取得OK ②契約終了:取得NG 【日雇い】取得NG |
申請期間 | 1ヶ月単位で、最長1年間/家族1人あたり |
取得回数 | 何回でも |
給料 | 主に残業や短時間勤務の話なので、勤務先のルールによります。 |
短時間勤務 | 会社は①~④のどれかを提供しなければいけない。 ①1日6時間に短縮 ②フレックスタイム制 ➂始業・終業時間の変更 ④介護費用の援助 |
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所定時間外労働(残業) | 所定時間外労働しなくて済む。 |
法定時間外労働(残業) | 月24時間・年150時間超の法定時間外労働しなくて済む。※本来は月45時間・年360時間までならOK |
深夜労働 | 深夜労働しなくて済む。 |
- 所定時間外労働とは
-
社内ルールで定められている労働時間範囲を超えた労働。
- 法定時間外労働とは
-
労働基準法という法律に定められている労働時間範囲を超えた労働。
- 深夜労働とは
-
22:00~5:00までの労働。
所定時間外労働と法定時間外労働の違い。たとえば、始業時刻が9:00、休憩時間が12:00〜13:00、終業時刻が17:30の会社であれば、所定労働時間は7時間30分となります。始業時刻が9:00、休憩時間が12:00〜13:00、終業時刻が18:00だった場合、いわゆる「残業」は30分になりますが、法律上の「法定時間外労働」は無しとなります。
入社1年未満の従業員、1週間の所定労働日数が2日以下の従業員は、労働時間の融通はさせてもらえません。
事業の正常な運営を妨げる場合は、事業主は労働者からの請求を拒めます。つまり、仕事を無責任に放棄はできないということですね。